Blenderを使ってCG初心者でも4か月でMV作れました
私は、PCを長年使っていましたが、3DCGアニメを作ったことはありませんでした。
しかし、2023年9月にBlenderという無料の3DCG作成アプリを知り、4か月後の2023年末には5分程度の3DCGアニメをYouTubeで公開するところまでできました。
需要があるか不明ですが、もしかしたら世の中の誰かの役に立つこともあるかもしれないので、これまでの経緯を記録に残しておこうと思います。
作品について
作品は、Dreams Come Trueの「SNOW DANCE」のミュージックビデオを、CGでリメイクしてみたものです。
原曲をそのまま使うのは権利的にNGということなので、音楽は市販のMIDIデータと、ボーカロイド(Synthesizer V無料版)で作成したオリジナル音源にしてあります。
2024/1/22 現在、再生回数25回…。ま、そんなもんですよね。曲が違う時点で違和感に耐えられずサヨウナラして再生止めちゃう人も多いみたいです。
元ネタの本家ミュージックビデオはこちらです。
「SNOW DANCE」は、1999年の楽曲です。1900年代から2000年代に切り替わる「ミレニアム」で、みんなが浮かれている雰囲気を、当時ブームだったラテンのテイストで切ない雰囲気で仕上げた名曲です。もう24年前なんですね~。
ミュージックビデオでは、おしゃれな街として有名な代官山を、ボーカルの吉田美和さんが歩いている様子を、ノーカットで1本撮りしている作りになってます。途中で、中村正人さんと、当時のメンバーだった西川さんがちょろっと出てくるのもほほえましい。
CGでは、吉田美和さんの歩く様子、表情の変化を中心にコピーしました。また、周囲の歩行者、車の動きなどを頑張って再現してみました。
なぜこれを作ろうと思ったのか?

実は、この作品の前に一つ作ってた動画があります。
それは、大きなクリスマスツリー「Winter Fantasia」をCGで再現したものです。
「Winter Fantasia」は、「SNOW DANCE」と同じ1999年前後に、Dreams Come Trueが企画して国立代々木競技場第一体育館前の広場に設置していたツリーです。
初めはツリー単体をCGで作成して、イルミネーションの輝きを再現して楽しんでいたのです。
しかし、だんだん制作欲が湧いてきて、周囲にある代々木第一体育館を再現したくなり、モデリングしました。かなり複雑な形なので素人には無理めだったのですが、なんとなくの雰囲気は作れました。
次に、原宿駅周辺の環境も再現したくなりました。流石にそこまで自作するのは無理だと思ったので、渋谷原宿エリアなら、すでにデータを作ってる人がいるのではないか?と検索しました。
Google Mapのデータが使えないか…も調べました。
そこで、Project Plateauを見つけたのです。
Project Plateauを見つけた
Project Plateauは、国土交通省が推進する日本全国の都市のデジタルツイン実現プロジェクト。3D都市モデルを整備して、映像作品にとどまらずいろいろな領域での活用を開発しているそうです。
調べてみると、Project PlateauのデータはBlenderにインポートして活用できることが分かったので、飛びつきました。ゲーム開発環境のUnreal Engine用のプラグインなどもあるようです。
Project Plateauのデータには詳細レベルがいくつかあります。渋谷駅周辺などは、ビルの詳細な形状やテクスチャなどもあるので、そっくりなCGを簡単に作れます。
しかし、代々木第一体育館はギリギリ範囲外でした。(せっかく自分でモデリングしたデータが無駄になることはなかったのですが…。)
それでも、Project Plateauのデータを使って、ツリーの遠景にある建物のシルエットなどをリアルな感じで再現できました。
ここで、ふと、「SNOW DANCE」のミュージックビデオを思い出したのです。
「このデータを使えば、代官山を歩く映像を簡単に作れるのでは…?」
舞台を2023年の代官山にした理由は?
まず、代官山あたりのProject PlateauのデータをBlenderに取り込みました。
代官山付近も代々木第一体育館と同様、渋谷駅付近の詳細なエリアからはギリギリ外れていました。なので、建物の概形しかデータはありません。
つまり、ミュージックビデオを再現するには、沿道の建物たちを自分で詳細にモデリングする必要があるのです。
大変そうですが、締め切りもないし、「やることがたくさんできてうれしいな」くらいの感じでした。趣味ですからね。
しかし、問題は1999年と2023年という時間の経過でした。
ミュージックビデオを完全再現するには、1999年当時の建物をモデリングする必要があります。しかし、1999年の代官山に関する写真はあまり見つけられません。
今は、写真を撮るのはシェアするためのような世界ですが、当時の写真共有はせいぜい「写メール」くらいなものでした。もしあったとしても、ガラケーの画質、情報量は今のスマホの写真よりかなり劣ります。いい写真が検索でほとんどヒットしないのです。
ミュージックビデオから得られる情報にも限りがあるので、1999年を再現するのはあきらめました…。
そして、テーマを「2023の代官山で撮影したSNOW DANCE のMV」に変更しました。これはこれで面白そうな感じがします。
なぜ、人を”クマ”にしたのか?

今回、登場するのはたくさんの”クマ”です。
「SNOW DANCE」のミュージックビデオをCG化するにあたって、吉田美和さんをはじめとした登場人物をそのままCG化するのは、あまりに難易度が高そうだなと考えました。
もしも、それらしくできたとしても、不気味さを隠せない仕上がりになりそうです。
また、CGで元ネタを丸コピーしても、面白みに欠けそう…とも思いました。
(あまりによくできたボーカロイドカバーは、本物と区別できなくてバズらないそうです)
そこで、
「人間ではなく何かのキャラクターに置き換えれば、難度も下がるし、面白いかも~」
と思いついたのです。
幸い、Dreams Come Trueには、マスコットキャラクターに「ドリクマ」というD,C,T の3文字が配置された”耳”が3つあるクマがいます。
ドリクマを吉田美和さんと入れ替えて、その他の人もクマにしたら、めっちゃ楽しそう!と思いついたのです。
なお、Youtube公開にあたっては、念のためドリクマの著作権を尊重して、耳2つの普通のクマに置換しました。
お手本の再現は、3DCG初心者におすすめのテーマ
今回は、たまたまミュージックビデオをお手本にして、3DCGを作成することになったのですが、これは実は、とてもいい選択だったんじゃないかと持っています。
3DCGを作るには、完成した動画を自分の中で明確にイメージする必要があります。
ストーリーを考えて、キャラクターを考えて、それぞれの場面でのキャラクターの動きを書き起こして…と、CGを作成する前に必要な作業がたくさんありそうです。
Blenderで3DCGを作成してみたい!けど、Blenderを使ってみるまでの過程が長いと、自分がやりたいことから離れてしまって、モチベーションが下がっちゃいそうです。
もちろん、作り上げたい作品のストーリー、キャラクター、場面での動きが明確にイメージできているのであれば、問題にはならないと思いますが…。
ミュージックビデオをお手本にすれば、前段階を取っ払っていきなりBlenderで作業を始められます。
私も、出現するいろいろなタイプのオブジェクトをモデリングしたり、動きを付けたりするのが楽しくて、とてもいい勉強になりました。
これからCGアニメを作成したい方に、おすすめしたいです。
ミュージックビデオだけではなく、好きなアニメやゲームの1場面とかを再現するのも楽しそうですね。
まとめ
Blenderに出会って、4か月でどんな作品ができたのか、どういう経緯で始めたのかについて紹介しました。
まとめるとこんな感じです。
- 「WINTER FANTASIA」の再現CG作成で、原宿の街並みのデータが欲しかった
- Project Plateauで、原宿の街並みのデータを取得し、CG化してみた。
- 代官山を歩く「SNOW DANCE」のミュージックビデオを思い出し、Project Plateauが活用できると思った。
- ミュージックビデオの再現にあたり、簡略化のために人をクマに置き換えることを思いついた。
- お手本の再現を、3DCG学習としておすすめしたい。
制作中は、本当にいろいろな作業がありました。やりたいことを見つけては、Blenderでどうやったらできるのかから始めて、いろいろと試行錯誤して進めました。もちろん、先人のブログやYouTubeのレクチャー動画を参考にさせていただきました。ありがとうございました。
当時のことを思い出して、どんな課題があったのか?どうやって解決したのか?という情報をシェアできればと思っております。
とにかく楽しくて、夢中に過ごした4か月でした。
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